凪とスウェル
ヘルメットを被り、バイクに乗り込むと、あたしは隆治にぎゅっとしがみついた。


バイクっていいよね。


密着する口実が出来るもの。


隆治がエンジンをかけると、バイクはまだ薄暗い海岸沿いを走り始めた。


朝の海は濃く深いブルーで、なんだか吸い込まれてしまいそうだ。


バイクが走り出すと、やっぱりかなり寒くて、あたしは手袋をして来て良かったと思った。


潮の香りをいっぱい吸い込みながら、あたしはゆっくり目を閉じた。


隆治。


会いたかった。


顔を見たら。


あたしはやっぱり隆治が好きなんだって。


ハッキリと。


そう、思ったよ…。

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