凪とスウェル
「おおっ、そうじゃ。

すずちゃん、隆治に勉強教えてやってくれんかのう?」


「「えぇっ?」」


同時に声を上げるあたしと隆治。


「コイツはあんまり成績がようのうてのう。

すずちゃんと一緒に勉強したら、点数が上がるかもしれんじゃろう?

隆治、せっかくじゃけぇ、一緒に勉強してもらえ」


隆治は何とも複雑そうな顔をしている。


「すずちゃん、頼んでもええかのう?」


隆治のおじいちゃんとはよく話すけど、こんなふうに何かをお願いされるのは初めてだ。


「あたしは構わないんですけど、あの…隆治君がイヤじゃないかと…」


チラリ隆治を見ると、隆治はあたしをギロリ睨んでいた。


「隆治。お前イヤなんか?」


おじいちゃんの低く鋭い声が響く。


「いや、別に。

イヤじゃねぇけど…」


「ほんなら、すぐに部屋行って勉強せえ。

隆治、冷蔵庫にジュースがあるけぇ、すずちゃんに出してやるんどー」


「……。へーい」
< 149 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop