凪とスウェル
あたしは隆治に、試験に出そうなところを教えてあげた。


こうやって覚えるといいよと覚え方のコツを教えると、隆治は感心しながら、それを何度も口に出して覚えていた。


意外と素直で、なんだかちょっと可愛いな、なんて思ってしまった。


それにしても…。


二人きりで部屋にいるのに、全く男女のムードにならないあたし達。


やっぱり隆治は、あたしのこと男友達だと思ってるんだろうな…。


まぁ、いいけど。


隆治は意外と集中力があって、気がつけばあっという間に夜の19時になっていた。





「悪いな。遅くまで付き合わせて」


家までの帰り道、隆治はあたしをおばあちゃんの家の下まで送ってくれていた。


「あ、いいよ。全然。

遅くなるって家にはちゃんと電話したし、あたしも隆治に教えながら、しっかり頭に入ったしね」


にっこり笑うと、隆治は少し上目遣いをした。


「あの、さ」


「ん?」


「明日もお願いしていいか?」


「え…?」


鼻の下を人差し指でこする隆治。


「あ、いや…。

明日だけじゃなくて、試験までずっと…」

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