凪とスウェル
俺、愕然としたよ。


確かにこの頃、母親とはケンカばかりしていた。


ものすごく反抗的な態度だったし、ひどく悲しませたかもしれない。


だけど、自分が再婚するために、俺を島に連れて来て、初めて会うじいちゃんに預けようとしていたなんて。


普通はさ、自分の子供を優先するもんじゃないのか?


それなのに母親は、相手の男性を優先して、向こうの都合に合わせようとしてるんだ。


俺はいたたまれなくなって、静かに外へ出た。


防波堤に腰掛けて、揺れる波を眺めていたら、母親が出て来たんだ。


母親はここでやっと、自分には好きな人がいること。


その人と再婚しようとしていること。


だけど、子連れでの再婚はなかなか難しいから、しばらくここで待っていてくれないかって。


俺にそう話したんだ…。
< 183 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop