凪とスウェル
「ごめんな…」


「ん…?」


「変な話、聞かせて…」


少し苦笑いをした隆治に、あたしは首を横に振った。


「お前と俺、どっちも両親が離婚してるし、生まれは東京だし。

やむを得ず島に連れて来られて、結構似た境遇だろ?

お前になら、話してもいいかな?って思って…」


隆治がそう言ってくれて、あたしはすごく嬉しかった。


あたしは隆治のことなら、どんなことだって知りたいもの。


「でも俺、ちょっとすずがうらやましい…」


「え?」


うらやましい…?


「キヨさんもお母さんもいい人だし、父親の家にも何の抵抗なく泊まりに行けるだろ?

同じように親が離婚してても、なんか天と地の差があるよな…」


隆治が寂しそうに言うから、あたしはどう答えていいかわからず、ただ床をじっと眺めた。
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