凪とスウェル
彼に誘われて
その日の夜はなんだか寝付けなくて、仕方なくその時間を試験勉強に充てた。


隆治がどんな顔をして現れるか不安だったあたしは、翌朝いつもより早めにフェリー乗り場へと向かった。


フェリー乗り場はいつものように本土への通勤の車、バイク、自転車でいっぱいだ。


もうすっかりあたしも島の住民だなと、ふふっと笑う。


もし隆治がいなかったらあたし、今でも島の生活がイヤだっただろうな…。


退屈だー退屈だーって、文句ばっかり言っていたかもしれない。


隆治のいるこの島が好き。


隆治と見る景色が好き。


隆治が隣にいてくれたら、見るもの全てが感動なんだ。


そんなことを考えながら海を眺めていたら、ゴンッとあたしの自転車が揺れた。
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