凪とスウェル
試験も無事終わると、隆治はすっかり元の隆治に戻っていた。


あの日以来、隆治の口からお母さんの話が出ることはなかった。


隆治が触れないのだから、あたしももちろん触れないけれど。


だけど、それと共にあの日のキスのことも、まるでなかったことのようになっていた。


まさか忘れちゃったとか。


そもそも、記憶にさえなかったりして?


なんか、ショックなんだけど…。


あたしと隆治は特に変わらぬ毎日を過ごし、気がつけば2年生は終わり、春休みになってしまった。
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