凪とスウェル
リミット



月の最終土曜日。


この日の夜、隆治は必ず俺の家に泊まりに来る。


高校を卒業後、パン屋に就職した隆治。


それ以来ずっと続いている、もう当たり前の習慣だ。


高校の頃も、隆治はよく俺の家に泊まりに来ていた。


自分の家に居場所がないと、よくぼやいていた隆治。


なんとなく放っておけなくて、なんだかんだとアイツを誘って家に泊めた。


もともと俺の家って、昔からたまり場みたいなものだったし、隆治に限らず、泊まるヤツらは大勢いたけど。


でも、社会人になってからも泊まりに来るのは、隆治くらいなものだ。


それに隆治は俺のお袋のお気に入りで、昔から隆治が来るのだけは大歓迎だった。


アイツは酒屋でバイト経験があるからか、他の連中より礼儀正しかったし、あの綺麗な顔はお袋から見てもちょっとドキドキするのかもしれない。
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