凪とスウェル
「はい」


『もしもし、隆治?

どうしたの?ひどい声ね』


「あぁ…。風邪ひいた」


『風邪?大丈夫なの?熱は?』


「さぁ…。あるんじゃねぇの?

体温計ないし、よくわかんねぇ…」


スマホを耳に当てたまま、俺はゴロンと横になった。


『ご飯は?』


「食欲なんかあるわけねーじゃん。気分悪いのに」


『一人じゃ作ってくれる人もいないわよね。薬は?』


「そんなもん持ってねぇよ」


そう言った後、ケホケホと咳が出た。


これは本格的にまずいなと思った。


『お母さんが薬買って持って行ってあげる。食べ物や飲み物も。

何か欲しいものある?』


「うーん…。何も思い付かない…」


『まぁ適当に買っていくわ。じゃあ、後でね』


そう言うと、母親は電話を切ってしまった。


買っていくわって…。


ここまで来る気かよ。


まじで…?


俺はとりあえず玄関の鍵を開け、また眠りについた。
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