凪とスウェル
沢山の愛に触れて
次の日、まだ熱はあったけど、昨日に比べると随分下がっていた。


冷蔵庫を開けてみると、ヨーグルトやアイスの他にも、色んな食品が詰め込まれていた。


どんだけ俺に食わせる気だよって思ったけど、なぜかクスッと笑ってしまった。


食べるとまた眠くなって、その日は本当にゆっくり休んだ。


夕方になると、昨日話していた通り本当に母親がやって来て、狭いキッチンでカレーを作ってくれた。


病気なのになんでカレー?と思ったけど、食ったらすげーうまかった。


市販のルーを使った、ごく普通のカレーだけど、昔から俺はこの味が好きだった。


島に居た頃も、ここへ引っ越してからも。


同じルーを買って何度か作ってみたけど、なぜか母親の味にはならなかった。


久しぶりにこのカレーが食えて、内心やっぱ嬉しかった。


母親とはくだらない話をして、たまに笑ったりしながら、狭いテーブルで一緒にカレーを食べた。


ゆっくり休めたせいか、その翌日にはすっかり熱も下がり、俺は完全復活した。


俺のいない間に、師匠は無事退院したようで。


ついに師匠に自分の思いを話す日が訪れ、俺は身を引き締めた。
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