凪とスウェル
「なぁ…」


「ん?」


「泊まっていけよ…」


寂しそうに呟く隆治。


「ん…。だから、それは無理だって。

おばあちゃんに言われてるでしょ?

結婚するまで泊まるのはダメだって…」


あたしの言葉に、隆治のため息が漏れる。


「あーあー。

すずがそばにいるのに、俺いつまでおあずけ食らうわけ?

島に帰ってから、全然してねーじゃん」


うっ。


そ、そういうことを口に出して言わないで欲しい。


「俺、すずと一緒に眠るのが何よりの楽しみだったのに。

キヨさん、厳し過ぎるよー」


まぁ、確かに…。


親公認で自由に付き合えるのかと思いきや。


おばあちゃんの監視は想像以上に厳しかった。


「じゃあ、もうさぁ、早く嫁に来ちまえよ」


隆治が自分の頬を、あたしの頬にスリスリと寄せる。


「だからー。それもまだ早いって言われてるじゃん。

22歳じゃ、まだ早過ぎるって…」
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