凪とスウェル
八神の口ぶりからして、その同級生の女子は彼女ではないなとあたしは思った。


その日は八神と一緒に学校へ行き、学校でもなんだかんだとよく話してしまった。


なんだかすっかり仲良くなってしまったあたしと八神。


まぁ、いいけどね。


思ってたよりコイツ、結構イイ奴だし。


そんなことを思ってた翌朝。


またいつものように7:10のフェリーを待っていたら。


「おい、すず」


誰かがあたしの名を呼んだ。


まさかと思って振り返ると、八神が自転車に乗ったまま、あたしの自転車の後ろタイヤに足を置いていた。


すずって…。


呼び捨てかよっ!


「おはよ。今日も早起き?」


「まぁな」


ふぅん…。


まぁ、いいか。


乗ってる間、退屈しなくていいし。


なんて思いつつ、口元が緩んでいたその時だった。


「八神君」


可愛らしい声が、潮風に乗ってあたしの耳に届いた。
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