凪とスウェル
振り返ると、あたしと同じ制服を着た女の子が自転車を手押ししながら、こちらへ近づいて来ていた。


こ、この子って!


八神が唯一話す女子、だよね?


あたしは開いた口がふさがらなかった。


小柄でショートカット。


色白で目がぱっちり大きくて、唇はほんのりピーチ色。


まるでアイドルみたいな可愛さ。


こんな子が島に住んでいるなんて…。


「八神君、行く便変えたの?」


その子はにっこり問いかける。


「え? あー、いや。たまたまだけど」


「そうなんだ」


声もアイドルみたいに可愛いじゃないの。


す、すごいな…。


なんて、一人で感心していたら。


「あの、こちらは…?」


急にその子があたしの顔を大きな目でじっと見つめて来た。
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