凪とスウェル
「あー、その猫知ってる。有田さん家のだろ?」


「うん、そう。よくここに遊びに来るのよ」


急に立ち上がって猫に近づこうとする八神。


当然猫は警戒して、どこかに行ってしまった。


「あーっ、もうっ!アンタのせいで帰っちゃったじゃん」


「あぁ? 猫なんてそんなもんだろ?」


「何よ、それー。可愛かったのに!」


思わずぶぅと頬を膨らませていると、八神はまたあたしの隣に静かに腰掛けた。


「なぁ」


八神は庭に視線を向けたまま言った。


「何?」


八神の横顔をチラリ見つめる。


イヤミなくらい整った顔だな、と内心思っていると。


「お前さ。



なんで俺のこと、避けてる?」

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