凪とスウェル
ちょっとコイツ、自分で何言ってるかわかってんの?


それって。


それってまるで…。


あたしの気持ちに気づいたのか、八神がパッと表情を変えた。


「お、お前、誤解すんなよ?

だからって別にお前が恋愛対象だって言ってんじゃねーんだから」


「そ、そんなこと誰も思ってないわよ!」


やだ。


なんだか顔が熱い。


別に勘違いなんてしてないけどさ。


妙にドキドキしちゃったじゃんか!


「っていうかこの手、いつ離してくれるわけ…?」


あたしと八神は、ずっと手を繋いだままだった。


「うわっ」


ぎょっとして、慌てて手を離す八神。


な、何よ。


何なのよ、この状況は。


どうしていいかわからず八神に背を向けていると、ぷんと何やら妙な臭いが漂って来た。


「げっ、何? この匂い!」


八神と繋いでいた方の手から変な臭いがする。


「あぁ、エサの匂いだろ。素手で触ってたから」


「ちょっとあんた、何してくれてんのよ!」


もう最悪!


湯本さんには誤解されるし、手は臭くなるし!
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