恋に堕ちたら



その日、佐藤さんには定時で仕事を上がって貰い、明日から本格的に頑張って貰おうと思った。



今日はまだ彼の事を紹介もしていないし、全ては明日から。



私も明日からは気を引き締めなければ。



残りの仕事を素早く片付け私も帰路に着く事にした。



「蒼井、明日から佐藤くんの事よろしくな。
お前も気合いいれて頑張れよ!」



なぜだか帰り際上司に捕まり、そんな励ましの言葉を掛けられる。



あまりにも突然の事に私は何て返事を返していいのかすら分からずに固まっていた。



「あのなぁ、蒼井。お前が言い返して来ないとこっちも調子狂うんだけど」


「………」



調子が狂うも何も、それは私の台詞だ。



佐藤さんが居たお陰で今日は何となく上司の前で大人しくしていたもんだから、

調子が狂わされてるのはお互い様のようだ。



「……お疲れ様です」



とりあえず上司の台詞をスルーする。



私は何となく急いで社を後にした。


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