やくたたずの恋
 雛子の口から繰り返される、「結婚」という言葉。それに対する反抗心を、口を曲げることで表し、恭平は写真を雛子に返した。
「……あんた、横田議員の娘さんだって言ってたよな?」
「は、はい!」
「確か横田議員には、娘さんが一人しかいなかったはずだけど……それがあんた?」
「は、はい。そうですが……」
「選挙に、大臣のイスに、ヤバいことの揉み隠し……政治家って、いろんなことに金が必要だもんなぁ。あんたがうちの親父の指示でここに来たってことは、横田議員もうちの親父のお得意さんだってことだろ?」
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