やくたたずの恋
「いやだああああああ!」
 雛子は突然叫び、その場にしゃがみ込んだ。
「わ、私だってさ! 私だって、本当は、あんたみたいなスケベで変態で最低なおっさんとなんて結婚したくないもん! もっと若くてカッコよくって、優しい人がいいもん! お父様に命令されなかったら、絶対あんたとなんて、結婚しないんだからあああああああ!」
 膝を抱えた雛子は、わあああ、と泣きじゃくった。
 溜まりに溜まった感情。そして、恭平との結婚がダメになってしまうであろう予感。それらの色に染まった涙が、雛子を深い海の底へと沈めていった。
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