やくたたずの恋
下降し続ける海の中で、父のいつもの声が響く。「お前は役立たずだ」と。
ごめんなさい、お父様。ごめんなさい。
何度謝っても、彼女の声は海の青に染まり、消えるだけだ。そして彼女の体は、更に深くへと落ちていく。あとは彼女の体までもが、海の泡となるのを待つだけだった。
それは悲しい人魚姫だ。王子様にも出会えず、恋に胸を焦がすこともなく、無駄にこの身を藻屑として散らしていく、ただの無様な、22歳の女の姿だ。
「そのお前の気持ちをそのまま、お前の父親に言うんだな」
いや、ここは海の中ではない。はっきりとした声が、雛子の耳に響く。涙で濡れた顔を上げると、恭平が目の前でしゃがみ込んでいた。
暗い部屋の中で見える彼の瞳は、さっき雛子がいた、海の色に似ていた。深く青い、深海の底の、悲しみの色だ。
ごめんなさい、お父様。ごめんなさい。
何度謝っても、彼女の声は海の青に染まり、消えるだけだ。そして彼女の体は、更に深くへと落ちていく。あとは彼女の体までもが、海の泡となるのを待つだけだった。
それは悲しい人魚姫だ。王子様にも出会えず、恋に胸を焦がすこともなく、無駄にこの身を藻屑として散らしていく、ただの無様な、22歳の女の姿だ。
「そのお前の気持ちをそのまま、お前の父親に言うんだな」
いや、ここは海の中ではない。はっきりとした声が、雛子の耳に響く。涙で濡れた顔を上げると、恭平が目の前でしゃがみ込んでいた。
暗い部屋の中で見える彼の瞳は、さっき雛子がいた、海の色に似ていた。深く青い、深海の底の、悲しみの色だ。