あの子じゃなくて私を見て
私は瑠衣の方向に向き帰り、瑠衣をぎゅーっと力強く抱きしめた。
「……温かい」
ポツリとつぶやく。
「そう?」
「うん。瑠衣の体温温かいよ」
「叶愛も温かいよ?」
「瑠衣の方が温かい」
「叶愛の方が温かいよー」
「瑠衣の方が……」
ぎゅーっともっともっと力強く瑠衣を抱きしめる。
「…………」
「ん?叶愛どうしたの??」
「なんでもないよ」
私は瑠衣の胸元に顔を埋め、バレないように静かに涙を流した。