ワガママ狼男と同居始めました。




<夜>



狼になる。

狼になれば家事の手伝いも、勉強もしなくていいので楽だ。


「狼男の他にもあやかしはいるの?」


夜はだいたい紅葉とたわいない話をする。



「……狼人間みたいに単体で暮らすのは珍しいんだ。
俺は丙と暮らしていたけど。」



もしも丁が紅葉と出会う前に俺に思いを伝えていたら、俺は山に帰っただろう。


でも、紅葉と出会ってしまったから…………


じゃあ、俺は紅葉のことが好きなのか……?






『私だって…………志木のことが好きなのに。』


『置いていかないで』


『志木』




「もう寝る。」


「……そう、おやすみ……。」


それ以上考えてはいけない気がした。




そうして狼男の一日は終わる。





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