ワガママ狼男と同居始めました。




衝撃で私は床に押し倒された。


「……っ……き……」


息が……出来ない……。



志木が口を大きく開ける。

いつも以上に鋭い牙が見えた。


昨日の昼休みと同じアクションで私の首もとに近づく。


激しい痛みと共に、温かいものが染みるのが分かった。


噛まれてる……?


「……し……き……」


朦朧とする意識の中、声を絞り出す。


違う……。


志木はこんなことしない……。


私が好きになった志木はもっと……


温かくて、いとおしい。



「……志木…………」


涙が頬に伝った。




< 52 / 243 >

この作品をシェア

pagetop