定期からはじまる恋
半年前。 
彼の降りる駅より3つ前で降りる私。


朝の通勤、通学ラッシュの満員電車。
なかなか降りることができなくて、むりやり電車から飛び降りた。

いそいで改札に向かってる途中。


「ちょっと!すいません!」

振り返ると、彼がいて。


「定期、落としましたよ」

って。


慌ててお礼を言ってホームを出ようとした時気づいた。


あれ、あの人。
電車、今出発しちゃった…。

急いで彼を追いかけた。

「あの!電車、いっちゃいましたよね?ほんと、すいません!」
「あ、いいっていいって。気にしないで。俺が勝手にやったことだし。」


八重歯がみえた。
クシャッと笑う彼はきっとクラスのムードメーカかもしれない。

その瞬間、私は恋に落ちたんだ。


「でも…ほんと、ありがとうございました!」
「全然いいっすよ!じゃ!」

そう言って彼はホームに戻っていった。

< 4 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop