未来からの贈り物
なぜかこんな日は時間が経つのが早く感じられる。



そして定時の17時を回った。


「おい!瀬戸、今日みんなで飲みに行くけど、来るか!?
あっ!行くわけねぇか~大切な奥さんが待っているからなぁ」


と、一馬。


結婚してから一度も誘いに乗ったことがなかった。


…けれども


「そうだなぁ…行くか!」


その言葉にみんな驚いた顔をしている。


考えるには少し時間が足りなかったのだ。


1日仕事も上の空で手紙の事ばかり考えていたが、決して手紙の内容を信じているわけではない。



ましてや、妻を信じていないわけでも…




そこまで考えて僕は足を止めた。


「どうした瀬戸?さては奥さんに逢いたくなったか~?」


一馬の言葉にみんな笑っている。



「みんなごめん。…どうやらそうみたいだ。」


吹っ切れたと言えば吹っ切れたのかも知れない。


手紙によると僕は今日、妻に殺される。


けれどそんな非現実的な事が本当に起きるとは思えない。


恐くないわけではないが、今日もいつもと同じ様に妻は僕の帰りを待っているのだ。


僕は、彼女が待っているから家に帰る。ただそれだけの理由なのである…。



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