未来からの贈り物
なぜ僕は急いでいるのか、自分でも分からない。


それでも足早に家に向かっている自分がいた。


家に着いた頃には息が少しあがっている。



少し呼吸を整え、ドアノブに手をかけた。


扉を開け中に入るとカレーの匂いが家中を漂っていた。


扉が閉まる音で気づいたのか、スリッパが床をこする音がだんだんと近づいてくる。


妻がひょっこり部屋から顔を覗かせ


「おかえりなさい♪」


エプロンで手を拭きながら玄関先までやってきて、僕のカバンを持ってくれる。


いつもとなんら変わりのない、幸せな家庭がそこにあった。


< 29 / 41 >

この作品をシェア

pagetop