男子高校生と男子高校生もどき
語り継がれているとは言え、信じる信じないは別である。
今年瑚堂学園に入学した少年、立岡裕晶(たておかひろあき)の場合は、多数がそうであるように怪談話は信じていなかった。
今時学校の怪談なんてあるんだな、と物珍しく思うがそれは一時だけのこと。怪談という非現実的な事柄は好まない。裕晶は現実的なトリックが存在する推理モノを好んでいる。
そもそも、興味云々の前に自分には関係ないということに思い至る。裕晶がその話を聞いたのは、クラスメイトの会話が耳に入ったから。教室にいる話し手達は、裕晶の方を向いていなかった。だから、裕晶には関わりようがない。
関係ないといえば、クラスメイトからの陰口もそうだ。それも裕晶の方を向いていないのだから、関係のないことだった。
話し相手のいない学校生活。陰口以外は裕晶の望んだことだから、文句はない。