HONEYTRAP(番外編)~お見合い結婚のススメ~
「私はこれで失礼します…」



彼女の瞳に堰き止められた涙が今にも零れそうだった。



「・・・」



彼女は踵を返して俺から離れようとする。



俺はベンチから腰を上げて彼女の右手を掴んだ。



「あっ・・・」




気が付いたら、そのままの勢いで緑川さんの身体を腕の中に引き込んでいた。




「・・・男に涙を見せるなんて…卑怯だぞ」


「こ、これは・・・」



彼女の声は嗚咽を交じらせていた。



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