世界一幸せな国Ⅰ

絶対帰ってやる

〜ローナside〜


気がついたら、見覚えのある白い世界に来ていた。


見覚えのある白い服。

違うのは、容姿だけだ。




ここは、そう。

ローナになる前、藍乃が死んだ時に来たところ。



やっぱり……死んじゃったんだ。

5年かぁ……


短かったけど楽しかったなぁ。
幸せだったなぁ。


振り返ってみると、私はずっと笑ってばかりいた。

ユアンだってそう。



魁桜の倉庫にいるときみたいに賑やかで、会話は絶えなくて……。


ローナになって初めて知った、家族の温かさ。


藍乃の時はないのが当たり前だったのに、いつの間にか、なくてはならないものになっていた。



家の大黒柱で、家の仕事と王家の公務の両方をこなしていたのに、いつも笑顔で見てくれていたお父様。


ずっとそばで見守りながら、私達が動きやすいように、生活しやすいように影で手配してきてくれたお母様。


とても兄弟想いでしっかり者、兄弟のリーダー的存在、レオお兄様。


ずっと笑っていて、とてもポジティブ。ムードメーカー的存在のメアリーお姉様。


ゆっくりしているようで、いつも私達のことを第一に考えてくれていたランダお兄様。


そして……


いつも一緒にいた。
周りの事を第一に、何事も一生懸命に真っ直ぐ純粋な心を持っていたユアン。

彼氏だった彼方。





皆、かけがえのない存在だ。

彼らといた日々は宝物で、誰にも譲りたくはない。


そう思えたのは、前世の記憶があったからだろうか。
< 135 / 256 >

この作品をシェア

pagetop