世界一幸せな国Ⅰ
悠「では、最後。特殊能力について」


「特殊能力?なにそれ?」


私が特殊能力と聞いて思いついたのは、念力だった。


あの、ハンドパワーみたいなやつ。



悠「オプションのことだよ。成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群、魔力強力……みたいなもんだ」


「……なるほど、なら要らないね!」


彼「俺も興味ないや!」


私達の回答を聞いて、またもや目を丸くする悠馬。



悠「なんで?!」


本当に不思議そうだ。


それに答えたのは彼方だった。


彼「ムダな容姿端麗は、女が寄ってくるでしょ?運動神経抜群だと体育祭とかが地獄になる。成績優秀だと、教師までもが媚びてくる。もう経験済みだよ。……うんざりだ」



「それに、私も彼方も、そんなことになったら同性からは嫉妬の嵐だし」



それは、悠馬についても経験済みだったので、うんうんと頷いていた。



悠「じゃ、登録しておくな。すぐに転生出来るはずだが、お前ら、記憶はどうする?嫌なことだらけだったんだ。消してやり直すか?」



本当は、消したいことの方が多かっただろうけど、記憶を消すと聞いて頭に浮かんだのは魁桜のメンバーだった。

それに、パンダ教師も。



何気に、高校生活は楽しかったのかもしれない。



「記憶は、残しておいて。もう、あんなことは繰り返させない」


彼「俺も。これも経験だからね」
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