世界一幸せな国Ⅰ


……さすがに起きるか……



ユ「グッフ、ゲッフ……ゴホゴホ……」

「あ、おきた?おはよう、ユアン」

ユ「お……はよ。……ね、ねぇ……はらにけんいれたでしょ!めっちゃいたい!!」


そりゃあそうだ。

元世界一の喧嘩番長の拳を受けたのだから。

というか自業自得じゃん、ユアンの。



「じごうじとくでしょ?きょうははなすことがあゆのに……。はやくきがえてきてね。おかあしゃまたちがまってる」

ユ「わかった。しゅぐいくよ」



──in living room



「おかあしゃまー!ユアンおきたー!」


ユ「おはようございましゅ!おとうしゃま、おかあしゃま、レオおにいしゃま、メアリーおねえしゃま、りゃンダおにいしゃま。おねぼうしちゃって、ごえんなしゃい」


この流れで薄々感じた方もいるだろうが、ユアンは話し方を幼稚にしている。

舌足らずと末っ子を利用したものであり、子供っぽく見せているのである。


例えば、「おねぼう」だ。


寝過ごすという言葉よりも簡単だからだろう。


私の場合は、舌足らずのみ。

ユアンは、それに幼稚な話し方を加えることで、私たちの兄弟は成立するのだ。


それがなければ、年齢の詐称などすぐに勘付かれただろう。



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