誰かが言いました。
と祈ったものの、やっぱりこれは現実だったらしい。


次の日、授業の合間に大学の構内を歩いていたら偶然加賀くんと出くわして、以前のように「あ、こんにちは」とぺこりと頭を下げたら、「おう」と、かつて向けられたことのないほど満面の笑みを返された。


その後、これも偶然に出くわした茜にそのことを話すと、「えー! ついでにデートしちゃえばよかったのにー!」と言われた。


前々から連絡先は知っていたあたし達だけど、頻繁に連絡が来るようになった。


日々の出来事や他愛のないことだったり、加賀くんが飼っているという猫の画像がほとんどだった。


私は動物の中では猫が一番好きで、送られてくるたびに嬉しくなった。


送られてくるという事実も私にとっては嬉しかったし、その猫と加賀くんがじゃれているんだと妄想すると幸せな気持ちになれた。


「確かに、加賀くんは動物に例えたら猫だもんね。猫とじゃれて可愛くないはずがない」と、自分でも妄想したらしい茜が、ニヤニヤしながら言っていた。


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