好きのおもさ
「れおと、気づいてなかったの?」
「だって誰かが来る音、耳に入らなかったからな」
やれやれと立ち上がりながら、宇川くんは新山さんの近くへ行った。
新山さんは私の近くにいる。
ということは宇川くんが接近することになる。
なんだか嫌な気がした。
だけど顔を俯けてるし、相手にどう思われているのか不明瞭だろうと思い、そのまま気持ちを紛らわすことにした。
新山さんたちが話しているうちに、自然と私も話に入ることになってしまう。
「加奈ちゃんは、何の競技に出たいと思うの?」
もう。 気にしないで欲しいよ。
そんなこと知っても、何の役にも立たないでしょ。
「できるなら全種目の参加を取りやめて欲しい」
「加奈ちゃんらしいね」
なんて新山さんは微笑んでるけど….
宇川くんは違った。
「こういう奴って絶対、学年に1人か2人はいるよな」
なんて嘲笑う。
やめて欲しい、そういうのは。
「何言ってんの~」