Heat haze〜陽炎〜
あめ玉
セミが煩いくらいに鳴いていて

私は流れる汗を手で拭った

「りょう、おいで。
一緒に帰ろう。」


私の名前を読んで差し出された小さな暖かい手


私はその手を掴んだ


「モト兄、りょうが大きくなってもずっと一緒にいてあげゆ!」


日に焼けた少し大きな背中を見つめて


私は心から思ったよ


ずっと一緒にいたい

あの時
三歳の私には言葉の重さなんて知らなかった


ただ
モト兄と過ごす日々が永遠に大人になっても変わらないって純粋に思い込んでいた
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