Golden Apple
ミントフラッペ







日付を跨ぐ瞬間だけ、一日の中で特別だと感じる。

また今日が来る。また太陽が昇る。また何かを考えて、また何かを目に映す。

お兄ちゃんが生きていたら、と考えたことは不思議となかった。

目に見えないものはやはり信じにくいし、それにあたしはそういう想像力が働かない。

あたしの知っているお兄ちゃんの顔は死んでしまう直前の、あの笑顔だけ。

その他は色が濁るようにぼやけているのに、何故かあの表情だけは目に焼き付いている。

そして、今日もお兄ちゃんを想像出来なかったと、嘆くことすら、出来ない。




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