星屑ビーナス



「……」

「…ねぇ、かおり?」

「なに?」

「かおりはさ、結婚って何だと思う?」

「……」



唐突な私の問いかけにかおりは一度考えては、ふっと笑みをこぼした。



「唐突ねぇ。どうしたの?いきなり」

「なんていうか…たまには人の意見を聞いてみようと思って」

「あら珍しい」



冷たい夜風に揺れるその黒髪。光り出す目の前の赤信号に、二人の足が止まる。



「私はまだ結婚する気なんてないし、好きな人と一生一緒になんて綺麗なことは言えないけど…悪いことではないと思う」

「……」





悪いことでは、ない





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