星屑ビーナス



「相手の中で自分が一番になって、自分の中で相手が一番になる。それって、単純に幸せなことだと思うわ」

「…それでも、あの人みたいに裏切る人もいるじゃない?」

「あの男は一番がわからなかったのよ。バカだからどれが一番大切か、大切にするべきか、そのためにどうするか。わからなくなっただけ」

「……」

「大丈夫よ、世の中あんな奴ばっかりじゃない。それなのにあんなバカ一人のせいで全て諦めるなんて勿体無い」



かおりはそう言い切っては手を伸ばし、隣に立つ私の頬をぐにっとつまむ。



「臆病になる気持ちも分かるけど、勇気を出して得るものだから一層愛おしいものよ。だから、気持ちがあるなら向き合いなさい」

「……」

「どうしても勇気が出ないっていうなら、いくらでもお尻叩いて歩かせるから」




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