星屑ビーナス



「真崎さん」

「?…あぁ、奥谷か」



すると呼ばれた名前に顔を上げると、そこには今日も高めのヒールをコツコツと鳴らしオフィスに入ってくる背の高い姿。

淡いピンクのアイシャドーが、その瞼に色づく。



「今度のリップの新作デザイン出来ました」

「おう、ようやくか」

「はいはい、遅くなってすみませんね」



嫌味っぽく言いながら受け取ればその紙に描かれているデザインは、全体に大粒のラメが入ったキャップにメタルカラーの持ち手…と販売する暑い季節によく似合うポップなもの。



「ど…どうですか?」

「いいんじゃないか?俺は好きだな」

「!?本当ですか!?」

「あぁ。けどもう一味インパクトがほしい気もするから、商品会議の時に皆からの意見も貰おう」

「はいっ!」



そう嬉しそうに一気に笑顔になる顔に、つられてこちらまで笑えてしまう。



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