星屑ビーナス



「宮沢さん、顔強張ってる」

「あっ、はい!」

「笑顔笑顔。そんな顔じゃお客様怖がっちゃう」

「す、すみません…」

「中本さん、お客様の肌の色に対してファンデーションが白すぎ。もっと肌の色をちゃんと見て」

「はーい」



私含め社員皆、普段はオフィスの中で仕事をしているからお客様に接することも緊張するし技術だってプロには程遠い。

だからと言って下手では許されないし、その商品の魅力は作る私達が一番分かってることだから、ちゃんと伝えたいと思う。

そんな気持ちから一人一人に細かく指導をしていく。



(かおりはケア用品、浅田さんはネイル担当か)



そう目を向けると、そこには女性社員の手を取りそっと爪を塗っていく浅田さんの姿。

見れば赤いマニキュアは爪からはみ出ることなく、爪先に向かってラメが濃くから淡くグラデーションのように綺麗に塗られている。


< 21 / 334 >

この作品をシェア

pagetop