星屑ビーナス



「…いりません」

「なら捨てろ。自分でな」

「……」



少し突き放すような言い方をする俺に、彼女の長い睫毛は伏せられる。



「…どんな神経してるんですかね、あの人」

「……」

「普通行きあっても他人の振りするじゃないですか。…ありえない」

「そう思っても、意地は張るなよ」

「…?」





許せない、腹立たしい

そう思う気持ちはあるだろう

けど少しでも、期待や嬉しさがあるのなら





「お前の気持ちはお前だけのものだ。周りの言葉や目に流されないで思ったほうを選べ」





許す勇気を抱いて

もう一度その手をとることも、悪いことではないから





「……」



呟いた俺に、その手はようやく名刺を受け取る。



その手に持たれた、一枚の紙。

それをどうするかは奥谷自身の問題で、俺が口出すことじゃない。



(…本当は、奪って破り捨ててやりたい)



格好つけた言葉の裏

例えそんな気持ちにかられても





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