星屑ビーナス
『さよなら』
ようやく言えた、一言
終わりに出来た
「…、」
ファミレスを出て、戻ってきた駅前の通り。
街灯が光り、人々がまばらに行き交う中を一人歩けば、冷たい冬の風が肌になでた。
(…すっきり、した)
あの日、何一つ言えなかった自分。だけど二年経ってようやく言えた。
『あんたのせいで』とか
『今更何言ってるんだ』とか
ぶつけてやりたかった、責める言葉は何も言えなかった。
だけど本当に言いたかった一言だけを言えたおかげか、不思議と心は穏やかで清々しい。
「……」
何だか今、無性に彼に会いたい。
きっと私が何を選ぼうと、彼には関係ない。気にかけてもくれないだろうし、どうでもいいだろう。だけどそんな気持ちとは裏腹に、指先は携帯電話のアドレス帳をなぞり出す。
触れた画面には『第一商品部直通』の文字と番号。