星屑ビーナス
「そう、ですか…いい人ですもんね、彼。一緒にいたら、好きになっちゃいますよね」
「……」
「…私もそうなんです。昔悠と付き合ってて、別れて何年も経つんですけどやっぱり彼のことが忘れられなくて」
可愛らしく穏やかながらも、真っ直ぐにぶつかってくる言葉。
「一時の迷いでなくしてしまったけど…それでもやっぱり好き。だから、悠のことは渡せません」
「…渡さないも何も、あなたのものじゃないと思いますけど」
「……」
はっきりと言い切った彼女。それにも怯まず少し強気で言葉を返す私に、コピーを終えた機械は停止し静けさがその場に響く。
すると久保さんは息をひとつ吸って、長い睫毛を伏せた。
「…これも友人から聞いたんですけど、奥谷さんって彼氏に婚約破棄されたことがあるんですよね?」
「…!」
「彼、知ってるんですよね?だからあなたに優しくしてくれるんだと思いますよ」
「え…」
「可哀想だから、自分も同じ気持ちを知ってるから。…だから一緒にいてあげてるんだと思います。勘違いしちゃ、ダメですよ」
「……」
可哀想だから、
同じ気持ちを知ってるから、
言葉にしないだけで、同情?哀れみ?