星屑ビーナス



「すみませんね、立ち仕事なんて慣れてないんですよ」

「じゃあ早く帰りたいだろうが、まだ帰らせないからな」

「へ?」

「少し俺に付き合え」

「…?残業の手伝いなら嫌ですよ」

「違う。とりあえず、まずは化粧落としてこい」

「?」



化粧を、落とす?

意味がわからず首を傾げる私に、その手はクレンジングクリームとタオルを手渡す。



「?なにを…」

「お前はさっき俺の嫌いな言葉を言った。自分なんて、って」

「……」

「そんなこと二度と言えなくしてやる。その為の特別実演だ」





『私に可愛いのなんて』





私の先程の些細な一言を覚えていたらしい彼は、そう私の背中を押しトイレへと向かわせた。


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