星屑ビーナス



「……」



ある日の夜、私は自宅のリビングでテーブルに3種類のデザインの紙を並べ頭を悩ませていた。

ひとつは水色の紙に白字の爽やかなもの、もうひとつは白と茶色のゴシックなデザイン、そしてもうひとつはピンクと水色のポップな色合い…そう、それらは結婚式の招待状のデザインだ。



(爽やかな色もいいけど、落ち着いてるのもいい。けどポップなのも可愛いし…)

どれもいいと思うだけに決めることが出来ず、かれこれ1時間はこうしている。



「あー、もう!一旦休憩!」



一度冷静になろうとフローリングに敷かれた茶色のラグマットにごろんと寝転がると、頭のあたりには広げられたままのウェディング雑誌。

付箋でしるしをしてあるそのページに載っている、海沿いの綺麗な結婚式場。そこは、私たちが式を挙げると決めた場所だった。


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