星屑ビーナス
「よし…こんなもんか」
「……」
その言葉を合図に顔を上げれば、鏡に映るのはいつものきつめな顔とはまるで違う、柔らかく優しい雰囲気の顔の自分。
27年生きてきて、初めて見る姿。
「わ…」
「ほら、変わっただろ?」
「すごい…別人みたい」
メイクひとつを変えただけ。それだけにも関わらず大きく変わった顔に驚きながら鏡を見る私に、その顔はまたも鏡越しに満足げな笑みを見せた。
「お前の顔は可愛い化粧だってちゃんと似合う。寧ろ、そっちの方が背伸びして見えなくてよっぽどいい」
「……」
「似合わない、なんてただの思い込みなんだよ。雑誌や芸能人の受け売りもいいけど、お前にはお前の良さがあるんだから」
「私の良さ…」