星屑ビーナス



ー…



「今度の新作リップは絶対赤やピンク中心のカラー展開!!」

「いーや、ヌーディー系からラメ系までの広く浅くのカラー展開だ」

「何をー!!」



ある日の会社の会議室。

『夏前シーズン リップ展開企画』と書かれたホワイトボードの前で、相変わらず私と真崎さんは企画書片手ににらみ合う。



「リップと言えば赤!赤といえど黒っぽいものからピンク系まで色々あるんですから、それを幅広く出す方が絶対売れます!」

「バカ。そんなの年中どこのメーカーでも見る売り場だろ。それなら夏前の暑くなりだす時期に使いたくなるような軽い色を持ってきた方が人目をひく。新色として珍しい色を並べることも出来る」

「うっ…」

「どっちのカラー展開がいいかわかっただろ?今回も第一の企画でいいな」

「っ〜…」



ところが結局今回も旗は彼にあがり、私は言葉にならない悔しさを訴えるように机をバンバンと叩いた。



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