恋の相手はお隣さん。


***


意地悪で、冷たくて、でも本当は優しい響。だから怒られても、呆れられても、最後は許してくれるって甘えてた。
キスして触れてくれるから。抱きしめて笑顔をくれるから。響の気持ちがわからなくても、心のどこかで甘い期待を描いていた。私が大人になるまで、響は待っててくれるんだって。
やっぱり私には無理なのかな。もう無邪気に信じられないよ……響……。


コンビニでのことがあってから、3日。それ以来響に会っていない。あんな別れ方した後じゃ、会うのが怖かった。

「紗英ー? これお隣に持って行ってあげてー」

リビングにいると、お母さんがいつものように、作った料理をラップしてお皿を差し出した。
ついこの前までだったら、真っ先に隣の響の部屋に飛んで行って、ドアを叩いてるけれど……。

「……ごめん。お母さんが持って行って」
「あら、珍しいわね。いつも響くんに纏わりついているくせに」
「そんなに騒いでないもん」

そう言っても、説得力なんてまるでない。

「変な子ね。じゃあお母さんが行ってくるからね」

黙って頷くと、そのまま自分の部屋に入ってベッドの上に突っ伏した。
本当は、会いたい。だけど、行って嫌な顔をされたら? 子供じみた嫉妬をして、響の期待を裏切ってしまった私は、もう部屋に入れてもらえないかもしれない。


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