恋の相手はお隣さん。


「っく……響に、嫌われちゃった……」

駆け引きなんて、最初から私には無理だったのに。少しくらい相手にしてもらえてたからって、浮かれすぎてたんだ。お駄賃のキスで満足していれば、こんな思いはせずに済んだかもしれないのに。私は、欲張り過ぎたんだ。

『……今からお前んち行く。待ってろ』
「え……?」
『バーカ! 何かあったら言えっつったろ? ……ひとりで泣いてんじゃねーよ!』

強い口調で蒼汰が言う。本気で心配してくれている声だった。
「なんで……こんな時だけ…優しいのよ……っ」

響に会えなくて、どうしていいかわからない時に優しくされると、甘えてしまいたくなる。

『ったく。しょーがねーなぁ……おとなしく待っとけ』
「ん……待ってる……」

電話を切ってから、ほんの三十分くらいで蒼汰は家に来てくれた。
部屋に入ってくると、涙目になっている私を見て、「ばーか」とおでこを小突く。

「痛いっ……来ていきなりそれ?」


< 44 / 56 >

この作品をシェア

pagetop