恋の相手はお隣さん。


蒼汰は持ってきたコンビニの袋の中からペットボトルを取り出すと、蓋を開けて私に突き出した。

「泣いたら、喉乾いたろ。飲め」

いつもなら「偉そうに!」なんて言い返すところだけど、そうできなかったのは、ぶっきらぼうな口調の中に怒りが混じってたから。
蒼汰にまで呆れられてしまったかと思うと悲しくて、黙って受け取る。するとそれは、私の好きなメーカーのロイヤルミルクティーだった。
ひと口飲むと甘くて、少しだけ涙の味がした。

「ちょっとは落ち着いたか?」

ミルクティーの甘さと蒼汰の優しさで、涙をようやく止めることができた。
普段は口が悪いくせに、たまにこうして気遣ってくれる。こういうところは、私なんかよりずっと大人だ。

「うん……ありがと……」
「んだよ? 素直で気味が悪いっつーの」
「蒼汰、照れてるんでしょ?」
「あ? ……っせーな」

珍しく素直にお礼を言うと、蒼汰は面食らったみたいだった。そして一瞬、考え込むように口を閉ざすと、おもむろに立ち上がって私の手を引いた。


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