恋の相手はお隣さん。


「蒼汰……もう、帰……」
「なんだよ!? その態度は……!」

気まずい空気を振り払うように声を張り上げた蒼汰は、私の腕を振り払うと、ドアの中から引きずり出すようにして響の胸倉を掴んだ。

「あんた、コイツを……紗英をどう思ってんだよ? なんとも思ってないなら、二度と手ぇ出すな!」
「蒼汰……何言って」
「お前が泣いてんの、この男のせいだろうが!」

今にも響に殴りそうなほどに興奮してる蒼汰。こんなに怒ったところを見たことがなくて、私はオロオロするしかできない。
響が私をどう思っているか、知りたいけど……同じくらいに、知りたくない。
今、響に拒絶されたら、私はきっと、立ち直れなくなる。

「――用はそれだけか? だったら……帰れ」

胸倉を掴まれたまま黙って蒼汰を見下ろしていた響は、おもむろにその手を振り払うと、にべもなく冷たい声音で言い放った。


< 49 / 56 >

この作品をシェア

pagetop