恋の相手はお隣さん。
会うまでは、心のどこかで期待してた。もしかしたら、呆れた顔をしながら、いつもみたいに迎え入れてくれるんじゃないかって。どこかで、自分は響にとって特別なんじゃないかって、甘えてた。
「おいっ! そんな言い方……」
響に食ってかかろうとした蒼汰に、正面から割って入ると胸に飛び込んだ。
「蒼汰! ……いいから……も、帰ろ……」
もうこれ以上、響の前にいられない。これ以上拒絶されたら、きっと耐えられない。
震える手でぎゅっと胸に縋り付くと、蒼汰の身体が一瞬だけ強張った。
甘えちゃダメだとわかってても、今はひとりで立っていられない。縋りつくように、蒼汰の胸に顔を埋める。すると蒼汰は私の背中に腕をまわし、私を強く抱きしめた。
「あんたが紗英をそんな風に扱うなら……俺が紗英もらうから」
「え……」
蒼汰の言葉に驚いて見上げると、その目は響を睨みつけている。
「あんた、紗英のことなんとも思ってないんだろ? いいように振り回しやがって」
「蒼汰、違う……私が、勝手に」